① 初診日要件

障害年金の請求で最初に確認するのが初診日です。初診日とは、障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日を指します。確定診断が出た日ではなく、その傷病に関連して最初に受診した日である点に注意が必要です。

初診日に加入していた制度で年金の種類が決まる

初診日の加入制度と請求できる年金
初診日時点の状況請求できる年金対象等級
会社員・公務員(厚生年金加入中)障害厚生年金(+1・2級なら障害基礎年金も)1級・2級・3級・障害手当金
自営業・フリーランス・無職・学生障害基礎年金1級・2級
会社員の被扶養配偶者(第3号被保険者)障害基礎年金1級・2級
20歳前(年金未加入)20歳前障害による障害基礎年金1級・2級(所得制限あり)
60〜65歳未満で年金未加入・国内居住障害基礎年金1級・2級

初診日として扱われる主なケース

  • 健康診断で異常を指摘され、その後に受診した場合は「受診した日」が初診日(原則)
  • 同じ傷病で転医した場合は、最初にかかった医療機関の受診日
  • 誤診があった場合でも、その傷病に関して最初に受診した日
  • 先天性の疾患でも、症状が出て初めて受診した日
  • 相当因果関係のある前の傷病がある場合(例:糖尿病→糖尿病性腎症)は、前の傷病の初診日
要注意:「相当因果関係」の判断は結果を大きく左右します。前の傷病の初診日が国民年金加入中なら障害基礎年金に、厚生年金加入中なら障害厚生年金になるためです。判断が難しい領域なので、専門家の確認をおすすめします。

② 保険料納付要件

初診日の前日において、次のいずれかを満たしている必要があります。

  1. 原則:初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間のうち、保険料納付済期間+免除期間が3分の2以上あること
  2. 特例(直近1年要件):初診日が令和8年3月31日までにあり、初診日のある月の前々月までの直近1年間に未納がないこと(初診日において65歳未満であることが条件)
免除・猶予も「未納」ではありません:学生納付特例、保険料免除(全額・一部)、納付猶予の承認を受けていた期間は、納付要件の判定上「未納」とは扱われません。「払っていなかったから無理」と思っていた方でも要件を満たすケースは多くあります。ただし、承認を受けずに放置していた期間は未納となります。

納付要件が不要になるケース

  • 初診日が20歳前にある場合:年金制度に加入する義務がなかった期間のため、納付要件は問われません(ただし本人の所得による支給制限があります)
  • 初診日が国民年金の任意加入対象外の期間:個別に取り扱いが定められています
大切なポイント:納付要件は初診日の前日で判定されます。つまり、初診日以降に慌てて未納分を納めても要件を満たしたことにはなりません。逆に言えば、これから受診する予定がある方は、受診前に未納をなくしておくことが極めて重要です。

③ 障害状態要件

障害の程度が、国が定める「障害認定基準」の等級に該当する必要があります。判定の時点は次のいずれかです。

障害認定日

原則として初診日から1年6か月を経過した日です。ただし、次のような場合は1年6か月を待たずに認定日が定められる特例があります。

障害認定日の特例
状態障害認定日
人工透析を開始した透析開始から3か月を経過した日
心臓ペースメーカー・ICD・人工弁を装着した装着した日
人工関節・人工骨頭を挿入置換した挿入置換した日
人工肛門・新膀胱を造設した造設した日から6か月を経過した日
手足の切断・離断切断・離断した日
喉頭全摘出全摘出した日
在宅酸素療法を開始した療法を開始した日
脳血管疾患による機能障害で回復の見込みがない初診日から6か月経過後で、医学的に固定と認められた日

請求時点(事後重症)

障害認定日には等級に該当しなかったが、その後に悪化して等級に該当するようになった場合は、請求日時点の障害状態で審査を受けます。この場合、支給は請求月の翌月分からとなり、過去分は受け取れません。

65歳の壁:事後重症請求は65歳の誕生日の前々日までに行う必要があります。一方、障害認定日請求(遡及請求)は65歳を過ぎてからでも可能です。この違いを知らずに請求できる権利を失うケースがあるため、年齢が近い方は急いでご相談ください。

自分で確認するためのチェックリスト

  • その傷病で初めて受診した医療機関・受診日をおおよそ覚えている(またはお薬手帳・診察券などが残っている)
  • 初診日の頃に、会社員だったか/国民年金だったか/学生だったかが分かる
  • 初診日の直近1年間に、国民年金保険料の未納がない(または免除・猶予の承認を受けていた)
  • 初診日から1年6か月以上が経過している(または認定日特例に該当する)
  • 現在、日常生活や仕事に具体的な支障が続いている(家事・外出・服薬管理・対人関係・就労の継続など)
  • 通院を継続しており、主治医が症状を把握している

すべてに当てはまらなくても請求できる場合があります。まずは申請できる可能性をかんたんチェックで目安を確認してみてください。

要件で行き詰まりやすいケースと対処

初診日を証明する書類が取れない

病院の廃院・カルテ破棄(法定保存期間は5年)で受診状況等証明書が取得できない場合、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を提出し、あわせて次のような参考資料を集めて立証します。

  • 診察券、お薬手帳、処方明細
  • 身体障害者手帳・障害者手帳の申請時の診断書の写し
  • 生命保険・医療保険の給付請求記録
  • 健康保険の給付記録(レセプト情報)、傷病手当金の支給記録
  • 健康診断の記録、母子健康手帳、学校の健康診断票
  • 第三者による証明(初診日を知る第三者2名以上の申立てなど)

納付要件を満たしているか分からない

ねんきん定期便やねんきんネット、年金事務所での被保険者記録照会で確認できます。当事務所では、委任状をいただいた上で年金記録の確認を代行し、要件を満たすかを判定いたします。

等級に届くかが不安

障害の種類ごとに認定基準が定められています。診断書の記載内容(精神なら「日常生活能力の判定」「日常生活能力の程度」、肢体なら関節可動域・筋力など)で判断されるため、実際の生活状況が診断書に正しく反映されているかが重要です。

詳しくは障害等級と受給額のページをご覧ください。

要件の確認は無料で行っています。

「初診日がはっきりしない」「納付記録がわからない」といった段階からご相談いただけます。年金記録の照会もお手伝いしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。